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イオンエンジンのグリッド損耗に関する研究

 現在のイオンスラスタ開発において、加速グリッドの耐久性が最重要課題であり、イオンエンジン加速グリッドの耐久性を評価するための数値解析ツール(JIEDIツール、 JAXA Ion Engine Development Initiative)の開発がおこなわれている。中島研究室も一員としてこのコード開発に参加している。この電極損耗の数値解析技術は世界トップレベルである.しかしながら,最適化計算を行うためには,計算コストの削減がまだまだ必要であり,これに取り組んでいる。  

キャビティリングダウン法を用いたイオンスラスタにおける寿命モニタリングシステムの構築

 電気推進機の寿命はこれまでは莫大な時間(数千時間)と費用(数億円)がかかる実時間の耐久試験で評価するしかなかった。そこでコロラド州立大学との共同研究において、光学測定法の一つであるキャビティリングダウン法(CRDS法)を用いて、ホールスラスタの寿命をリアルタイムで算出できるシステムを構築し、世界に先駆けてリアルタイム寿命評価システムの実現可能性を示した。次のターゲットとして,イオンスラスタにこのシステムを適用できるよう感度および精度の向上をはかっている。  

トムソン散乱法によるイオンエンジン内部物理の解明

 現在のイオンスラスタ開発在のイオンスラスタ開発において、加速グリッドの耐久性が最重要課題であり、イオンエンジン加速グリッドの耐久性を評価するための数値解析ツール(JIEDIツール、 JAXA Ion Engine Development Initiative)の開発がおこなわれている。この開発に際して、イオンスラスタの放電室内部のプラズマ状態の計測は必要不可欠である。しかしながら静電プローブによる内部測定では、放電室内部のプラズマに擾乱を与えてしまい、正確な測定はこれまで難しかった。 そこで、JAXAとの共同研究として、擾乱を与えずにプラズマ諸量が測定可能なレーザートムソン散乱法を用いて、イオンエンジン内部のプラズマ状態の把握を目指している。  

数値解析によるイオンエンジン内部物理の解明

 マイクロ波放電式小型イオンスラスタのさらなる性能向上および長寿命化のために、放電室や磁場、アンテナの形状の放電室内部の物理現象へ及ぼす影響は完全に解明されていない.その原因はエンジン自体が小型であるために静電プローブ等の装置を入れることで放電室内部のプラズマに擾乱を引き起こし,正確な測定ができないからである。そのような状況下では数値解析は非常に有効な手段である.
また実験によるトライアンドエラーによって性能向上を図るのも一つの方法ではあるが,これには膨大な時間とお金が必要となる.そこで数値解析による放電室内部のシミュレーションが大きな威力を発揮する.複雑なマイクロ波とプラズマの相互作用を理解するために,内部でどのようなことが起こっているのかを可視化することは最適化において必要不可欠であり,また計算機上でのトライアンドエラーは実機と比較して時間もお金もかけずに行える.
そこで、中島研究室が開発してきたFDTD-PICコードおよび2D3V-DSMC-PICコードを用いて、様々なパラメータの依存性(マイクロ波周波数、磁場形状、磁場強度、アンテナ形状)を調査し、物理機構の解明を行う