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新たな電気推進の開発を目指して

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原理plinciple

原理と特徴

TDLの概念図を右に示す。TDLはマイクロ波放電を用いてプラズマを生成し、プラズマと宇宙空間の電位差によりイオンを加速し、排出することによって推力を得る静電加速型の推進器である。
 プラズマ生成室において、電子は磁場によって捕えられ、磁力線に沿って運動している。その結果として、磁気チューブと呼ぶ磁気ミラー間の領域を往復運動している。磁気チューブの一端はアンテナに接しており、アンテナ近傍には、マイクロ波によって電場が隆起され、この電場によって電子はエネルギーを受け取る。何度もアンテナ近傍を通過することにより、エネルギーの高い電子が増え、その電子によって、中性粒子(推進剤)が電離することによって、プラズマが生成される。
 生成されたプラズマ中のイオンはプラズマ電位と宇宙空間の電位差により加速・排出される。また、電子については高いエネルギーを持ったものが、電位差を乗り越えて排出される。よって、排出されるビームは電気的に中性である。これは、TDLの特徴のひとつである。
 TDLの最大の特徴は、プラズマ生成部のみという簡素な構造であるために、小型かつ低電力で稼動可能な点である。他の電気推進として、イオンエンジンを例にとると、イオンエンジンではプラズマ生成部はTDLと全く同じ構造であるが、その他にイオンを加速するイオン加速部、イオンビームを加速する中和部が必要となる。しかし、TDLではイオンの加速はプラズマの生成により自動的に発生する電位差を用いているため、イオン加速部は不要である。また、排出されるビームは電気的に中性であるため中和部も必要ない。よって、小型かつ低電力という小型衛星に適した特徴を実現できる。


double layer(電気二重層)

 世界各国で行われている研究において、ある特定の条件下の発散磁場中において、イオンと電子のdouble layerが形成されることが確認されている。double layerが形成されると大きな電位勾配が生まれるため、イオンをより加速できると考えられる。
 ちなみに、TDLとはthruster with double layer の略であり、double layerが形成されることを期待して命名された名称である。しかし、現在のところ、double layer が形成されている証拠は確認されていない


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TDL

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