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基盤研究(A) ホールスラスタにおける異常輸送現象の解明


 電気推進機の採用により、従来の衛星と比較して重量をほぼ半減させたボーイング社のオール電化衛星が無事に静止軌道投入に成功されたことにより,宇宙の推進装置にも電気エネルギーを推進力に変換する電気推進を採用する流れが加速している. オール電化衛星のエンジンには,単位消費電力あたりの推力である推力電力比が60 mN/kW以上と大きいホールスラスタが有力候補であり,日本の次期技術試験衛星にも搭載が見込まれている. このホールスラスタ開発の障壁となるのが,推力電力比向上を阻害する電子の異常輸送である。異常輸送は電子が理論値よりも輸送されやすく、電子が輸送されやすいということは消費電力が増大すると言うことを意味する. 異常輸送の要因として,プラズマの揺動(揺らぎ)が示唆されている. しかしながら従来の計測方法では,技術的ハードルが高く,異常輸送の物理は解明されていない。そこで測定技術とともに数値解析を用いて、異常輸送を引き起こす物理を解明をめざすことが本研究の目的である.